ショートインタビュー 挿管回避~NPPVとHFNCの使い分け~
6分23秒

医療法人 徳洲会 東京西徳洲会病院 集中ケア認定看護師/呼吸療法認定士・師長 菅原 隆広様にお話をいただきました。
●NPPVとHFNCの使い方について
●治療継続の課題/
●NPPV中のHFNCの活用~食事、休憩~
●NPPV休憩中のHFNC設定

挿管回避~NPPVとHFNCの使い分け~

弊施設では、NPPVを重症の心不全や間接性肺炎の憎悪の患者さんへ使用するケースが多く、HFNCに関しては、挿管回避としてそれら以外の呼吸不全の患者さんに使用する場合が多いです。集中治療室では、人工呼吸器の離脱後、呼吸に何かしらの懸念がある場合に、HFNCを使用します。また、一般病棟では、人工呼吸器が長期化してしまった患者さんが気管切開をしていますので、気管切開をしながら人工呼吸器を使用している患者さんの離脱の際に、気切用のカニューレを使用しHFNCを使用することが多いです。また、感染病棟では、挿管回避としてして使用するケースが多くみられます。

HFNC使用による皮膚トラブルの回避

NPPVの長時間使用による皮膚トラブルの発生は、看護師にとってはかなり大きな悩みです。今までは、鼻翼に皮膚トラブルが生じた際は、皮膚保護材を使用した皮膚の保護、またフェイスマスクへ変更し、マスクの方向を変えるなどで対応することが多くありました。しかし、どうしてもフェイスマスクの使用では患者さんの苦痛を取り除くことができないということで、一時的に皮膚への圧迫を解除し皮膚を休ませるために、HFNCを使用しています。2~3時間おきに皮膚の状態を観察し、発赤程度であれば一時的にマスクを外し、2-3時間ほどHFNCで皮膚を休ませます。そうすると、皮膚が次第に回復してきますので、皮膚のトラブルを未然に防ぎ、かつ悪化も防ぎながら管理できるという点で、HFNCの使い勝手の良さを感じています。

NPPVからの一時離脱~HFNCとの併用でより快適な食事時間を~

当院ではNPPV使用の際、FiO2が40%~50%くらいの患者さんであれば、医師より食事の指示が出ます。今までは、鼻カニュラを使用し食事をしていただいていました。FiO2が40%~50%くらいの患者さんが鼻カニュラで食事をする場合、サチュレーションを保つために酸素の投与量を6L/min~7L/minにする必要があります。このような場合、看護師が呼吸状態やサチュレーションの観察をしながら、患者さんが食事をされるのですが、どうしてもサチュレーションが90%を切り、ベッドサイドモニターが鳴り始めることがあります。そうすると、看護師も患者さんの呼吸不全が悪化するのではないかと焦り、患者さんがゆっくりリラックスして食事をすることができないなどの事例がよくみられました。こういった患者さんに対しHFNCを使用することで、ある程度のフローを保ちながら、NPPV使用の際より10%ほど高めのFiO2の設定をすることで、サチュレーションが下がるのを防ぐことができます。ですので、ベッドサイドアラームを気にすることなく、患者さんがゆっくりと食事をすることができることを経験しました。このような経験から、一般病棟でNPPVからの一時離脱の相談があった際は、基本的にHFNCを勧めるようにしています。

NPPV離脱の際の設定ポイント

基本的には患者さんの呼吸状態を診ながら、明らかな頻呼吸の場合は、流量を50L/min~60L/minの設定にしています。FiO2は10%~20%ほど高めに設定をし、流量に関しては40L/minからはじめ、患者さんの鼻の周りに手を当て、吸気・呼気どちらでも、空気が鼻の周りから漏れているような状態を作るように指導しています。人工呼吸器の管理に関しても、例えば、痰が硬いために抜管ができない、ある程度の咳嗽がないため大事をとって抜管が1日、2日遅くなるという際にも、HFNCは有用です。HFNCを使用していると、痰の管理もしやすく、また咳嗽がそれほど強くなくても痰が軟らかくなってくるため、結果的に咳嗽がしやすくなります。ですので、人工呼吸器離脱の前で一旦HFNCを挟むことで、HFNCの効果だけでなく、使い勝手もよさも実感できるかと思います。そうしていくことで、院内でもHFNCが使いやすくなってくるのではないかと考えます。

販売名:フロージェネレーターAirvo
届出番号:22500BZX00417000

関連動画

※当ページ内コンテンツの許可なき転載、複製、転用等は禁止