加温加湿研究会

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加温加湿研究会 2022.Autumn/新生児呼吸管理における加温加湿の重要性

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当日の質疑応答とレポート

「どうする?NICUNにおける挿管から抜管後の呼吸管理について~加温加湿の重要性~」

北里大学医学部附属新世紀医療開発センター 先端医療領域開発部門 新生児集中治療学 中西 秀彦先生

加温加湿とは関係ないのですが、最近はNAVAがトレンドですが急性期から修正36週までHFO管理を行う理由についてお聞かせください。
上記質問内容には2つの要素が入っていると思いますので、それぞれについて回答します。

一つは、何故NAVAを使用しないのか?
確かにNAVAはトレンドになっておりますが、すべての施設で導入できているわけではありません。また必ずしも他の呼吸器を上回るだけのエビデンスが出ているわけではありません。当院ではまだNAVAを使用できる機器は1台だけであることや、使用経験が少ないため、まだ超未熟児での使用経験はありません。NAVAも決して万能ではなく、さざなみEdiや、自発呼吸の問題などもあり、長野こども病院など使い慣れた施設であっても、HFOVに戻すようなケースも少なくないようです。またずばり、私自身の好みの問題もあります。これまで、大阪市立総合医療センター、東京女子医科大学母子総合医療センターで、新生児医療に携わってきた中で、多くのHFOVによる管理を経験してきました。早期からHFOを導入することで、無事に急性期を超え、慢性期においても体重増加を得ることができ、無事に抜管して、退院することができています。ただもちろんNAVAを用いた管理もこれから経験を積んで増やしていきたいと思っています。

修正36週までHFO管理を行うことについて
現在の呼吸管理のコンセプトとしては、できるだけ早期に抜管する、というのが一般的だと思いますが、これは在胎期間24週以上の児での話で、実臨床では、22-23週児に対する早期抜管については必ずしもプラスになるとは言えないと思います。それはスライドでも述べたように、肺胞構造や呼吸中枢の未熟性などが関連していると思います。早期抜管したとしても頻回の無呼吸発作により、頻回に低酸素血症が引き起こされると、神経発達にも影響を与えかねません。このような点を考慮して、特に22-23週時の場合には、まずしっかりと成長することを目指して、栄養強化を行い、体重増加が得られ、呼吸状態が安定してから抜管するようにしています。また当院の特徴かもしれませんが、全国と比較して組織学的CAMを合併している母体の割合が高いことも、少なからず影響を与えている可能性があります。ただ、北里大学では原則、抜管時修正週数おおよそ28週以降、体重800g以上をもって抜管の目安としています。全例、長期挿管ではありません。

「新生児特有の加温加湿」

東京女子医科大学附属足立医療センター臨床工学部 臨床工学技士 小瀧 崇行 様

HFOのモードではMR850のマニュアルモードを使用すると伺いました。 そのほかにもマニュアルモードで対応する場面はありますでしょうか?
SIMVなどでは基本はオートモードで使用していますが、痰が硬い場合など加湿不足と考えられる場合にはマニュアルで温度設定を変えることがあります。また、結露が多すぎる場合にも変更することがあります。
当院でSLE6000を用いてHFNCとネーザルCPAPを行った際に脳幹を冷やさないという点でMR850の挿管モードを使用していましたが、あまりに結露がひどくマスクモードに切り替えたりしながら使用していました。室温はそれほど低くなく、エアコンの風が当たっている様子もありませんでした。 このような場合に注意するポイントや工夫など経験がございましたら、教えて頂けると大変助かります。
当院の場合、HFNCやnDPAPをMR850の侵襲モードのオートで行って結露が出る場合、マニュアル0にします。チューブ類を緩衝材で巻いて、それでも治療に影響がでるくらい結露が出る場合、マスクモードのマニュアル3にして対応しています。
オートモードで管理できずに手動にした方が良いのはどの様な場合ですか。また手動で変更した設定が適切かどうかを判断する方法はありますか。
痰が固い場合など加湿不足と考えられる場合にはマニュアルで温度設定を変えることがあります。設定変更後は定期的に気管チューブやYピース部分に水滴がみられるかを確認します。また、吸引時には喀痰の硬さを確認し、長時間経過しても変わらないようなら、設定変更していくようにしています。
加温加湿器の設定のスライドにあったモードで、チャンバー40度以上、口元が40度以下のようなわざわざ結露を作るような加温・加湿設定を使用する状況はあるのでしょうか?
HFOモードでは人工呼吸器からチャンバーに送気されるガスの温度が高くなることがあり、加温加湿器のヒーター出力が抑えられ患者さんに乾燥したガスが送気されることがあります。設定3.0でチャンバー出口部の温度が40℃相対湿度が80%の場合、絶対湿度は40.9mg/Lとなります。口元温度39℃の飽和水蒸気量が48.6mg/Lなので、温度は下がりますが結露はでません。
sipapを使用している際に、結露が多量に発生することが多々あります。加湿のモードはオートでも0でも変化はなく、クベース内温度は31度以下〜28度程度でよくみられます。コット移床後も変化はありません(NICU室内温度は28度です)過剰結露(30分〜1時間に一度結露をはらわないといけない状態)への対策で、何か有効なものはありますか?回路をタオルやアルミで巻いたりしてみましたが変化はあまりありません。
SiPAPで使用する回路の吸気側の太い部分まではヒーターワイヤが入って温められているため結露は出にくいですが、その先の透明なチューブ部分はヒーターワイヤが入っておらず、径が細いため環境要因で温度が下がってしまい、結露が発生しやすくなっています。さらに、呼気側チューブもヒーターがはいっていないため結露が発生しやすいです。当院の対策は、吸気側の透明なチューブ部分に緩衝材などを巻いて温度を下がりにくいようにしています。

「新生児呼吸管理における加温加湿の理想と現実」

滋賀医科大学医学部附属病院 看護部 NICU 特定看護師 井出 康介氏

sipapを使用している際に、結露が多量に発生することが多々あります。加湿のモードはオートでも0でも変化はなく、クベース内温度は31度以下〜28度程度でよくみられます。コット移床後も変化はありません(NICU室内温度は28度です)過剰結露(30分〜1時間に一度結露をはらわないといけない状態)への対策で、何か有効なものはありますか?回路をタオルやアルミで巻いたりしてみましたが変化はあまりありません。
SiPAPを使用している際の過剰結露は当院でもよく見られる現象です。SiPAPの回路はジェネレーターの部分で細くなる分結露はできやすいのではと思います。そのため呼気の回路に水封防止を兼ねた穴が開いていると理解しています。
しかし30分に一度の水払いは頻度が多いと思いますSiPAPのbase flow設定なども関係してくるとは思いますがL/minで設定されているでしょうか?また質問にあった保育器環境でSiPAP使用している症例全員で起こっているのでしょうか?温度プローブの劣化によって口元の温度が設定温度まで上がってない可能性もあります。過剰結露対策としては吸気回路の保温による口元までの吸入気温度の維持なので実施されている対策は間違っていないのですが、その対応でも追いついていないというのが結果ということになります。あとはNICUの環境温の調整をしての対応しかないのではと思います。

                     
                  
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