加温加湿研究会 2022.Winter / ~人工呼吸管理下での加温加湿器と人工鼻の違い~

2022年2月25日(金)に開催されました加温加湿研究会、各講演の当日の質疑応答は以下よりご覧いただけます。

「人工呼吸中の加温加湿:~人工鼻と加温加湿器の使い分け~」

徳島大学病院 救急集中治療部科(部)長 大藤純 先生

多くの人工鼻の使用期間は24時間だと思いますが、48時間使用しても問題がないか教えてください。
人工鼻の製品の違いや湿度・分泌物の状態などにより、48時間以上使用も可能な場合もありますが、基本的にはメーカー推奨の使用期限は遵守した方が無難です。
人工鼻と加湿器の使用割合について教えてください。
基本的に、術後患者さん(短期使用・呼吸機能に問題なし)では人工鼻、内科系の急性呼吸不全患者さんや小児患者さんでは、加温加湿器から使用開始することが多いです。頻度は、各施設で違うと思います。
子供の場合の注意点などを教えてください。
人工鼻による死腔や気管チューブのリークなどからも、加温加湿器を使用することが多いです。新生児 では、加温加湿器による加温でも体温に影響することがあります。また、回路が細く、換気量も少ないため、環境温度の影響を受けやすく、結露が多く加湿不足になることもあります。
人工鼻使い始めからどれくらいの時間である程度の加湿性がでるのか教えてください。
基本的には、人工鼻と気管チューブの温度が定常状態に達するまでは、絶対湿度は上がっていきます。通常は数分程度で定常状態に近くなりますが、室温や患者さんの体温にも大きく影響を受けます。
加温加湿の設定を最大にしても痰の粘度が高い時の対応を教えてください。
去痰薬の使用、脱水の補正、分時換気量(つまりは呼吸努力が強く一回換気量が多い・頻呼吸)の是正(鎮痛鎮静など)、逆に咳嗽反射の維持(リハビリ、体位ドレナージ、適切な鎮静管理)などでしょうか。ちなみに、加温加湿器は吸気流量60L/分を超える場合では、加湿機能が低下することが知られており、非侵襲的陽圧換気では、リークを減らして吸気流量を減らす努力も必要だと思います。
COVID-19患者さんに対する気道管理において、加温加湿器と人工鼻は感染予防の観点からどちらがよいか教えてください。
人工鼻は、回路の簡便性、回路内結露予防では優れています。加温加湿器では、呼気回路の結露が問題になります。呼気側回路に熱線が装備され、呼気回路の結露を予防するシステムが良いと思います。その場合、人工鼻交換に伴うエアロゾル感染リスクは軽減できる可能性があります。また、呼気回路末端に装着するバクテリアフィルターは、加温加湿器では必須で人工鼻使用時でも原則装着が必要です。通常では、人工鼻を優先して使用する場合が多いと思います。加温加湿器が必要な場合では、上記のような感染リスク軽減策を行ったうえで使用することは可能であり、決して使用してはいけない、ということはありません。
ネブライザーは有効かどうか教えてください。
ネブライザー使用のメリットは、ほとんどないと思います。感染リスクが高い、末梢気道まで水粒子は届きにくく、加湿機能は劣るためです。
離床負荷と肺保護(P-SILIなど)について教えてください。
質問の意図が察しかねますが、鎮静を減量・中止して離床や呼吸器離脱に向けて調整する際に、呼吸努力や非同調が増えて肺傷害的になることがあります。その場合、P-SILI予防に鎮静を深めるか、呼吸器離脱に向かうかは、酸素化の程度と吸気努力(P0.1やΔPOCC)など参考に方針決定しています。酸素化が良ければ、どちらかというと呼吸器離脱に向かうことが多いです。離床に伴い呼吸負荷が増える場合も同様に考えています。呼吸ドライブが強く、分時換気量が多い場合は、人工鼻では加湿不足になりがちなので加温加湿器が理想です。人工鼻は、1回換気量が少ない場合、加湿能力はそれ程影響は受けませんが、死腔換気が増えてしまいますのでやはり使用は勧めることができません。
コロナ患者さんへの選択を聞きたいです。人工鼻選択が多いかと思いますが、加温加湿を使うときの注意点などを教えてください。
人工鼻は、回路の簡便性、回路内結露予防では優れています。加温加湿器では、呼気回路の結露が問題になります。呼気側回路に熱線が装備され、呼気回路の結露を予防するシステムが良いと思います。その場合に限り、人工鼻交換に伴うエアロゾル感染リスクは軽減できる可能性はあります。 また、呼気回路末端に装着するバクテリアフィルターは、加温加湿器では必須で人工鼻使用時でも原則装着が必要です。基本的には、人工鼻を優先して使用し、加温加湿器が必要な場合では、上記のような感染リスク軽減策を行ったうえで使用することは可能だと思います。
加湿目的(痰がかたいため)の生食ネブライザーの効果について教えてください。
ネブライザー使用のメリットは、ほとんどないと思います。感染リスクが高い、末梢気道まで水粒子は届きにくく、加湿機能は劣るためです。
加温加湿器のモードを変更したり、室温を調整したりしても、回路内の結露がどうしてもなくならないときはどうしたらいいですか教えてください。その場合に回路内の水は、チャンバーと口元どっちで捨てるべきですか教えてください。
結露が無くならない症例は一部おられます。室温の調整をしても、窓際で寒い箇所もある、環境温度は日当たりなどでも変化するなど万全ではなく、また加温加湿器の温度調整にも限界はあり、結露を完全に防ぐことは難しく、こまめに結露を取り除いています。結露はチャンバー内に戻す方法では、チャンバー内の汚染を経験したこともあり、可能な限り口元の陰圧式吸引で排出しています。
粒子が細かいと感染の原因にならない理由を知りたいです。粒子がウイルス等を運ばないからでしょうか。水蒸気透過膜回路ですがどのくらい機能が持つか教えてください。
結露が無くならない症例は一部おられます。室温の調整をしても、窓際で寒い箇所もある、環境温度は日当たりなどでも変化するなど万全ではなく、また加温加湿器の温度調整にも限界はあり、結露を完全に防ぐことは難しく、こまめに結露を取り除いています。結露はチャンバー内に戻す方法では、チャンバー内の汚染を経験したこともあり、可能な限り口元の陰圧式吸引で排出しています。
冬季の北海道において、結露を最小限とする加温加湿器の設定についてアドバイスをお願いします。
寒冷地屋外で長期間の人工呼吸管理は経験がございませんのでお答えできません。可能な限り通常の室温環境での使用を前提とし、寒冷条件での使用は短期間にとどめるしかないように思います。
デュアル回路ではなくシングル回路を使うことで、加温加湿器の設定について何か違いはありますか教えてください。
デュアル回路でもシングル回路でも温度設定は変わらないと思います。
加温加湿器の水は蒸留水でなくてはならないという論文を教えてください。
滅菌蒸留水の使用が基本と思います。例えば、水道水でもよいか?といった研究は知りませんし、少なくとも本邦では薬事承認されていないものを使用することはできないと思います。
加温加湿器使用時は呼気側回路の末端にバクテリアフィルターが必要となりますが、その交換の際に暴露に危険性は無いですか教えてください。
呼気回路末端のへパフィルターは、人工鼻使用であっても装着するのが原則です。また、そのへパフィルターの交換は、フィルター汚染や結露が多量に付着などを除いては、回路交換時に一緒に交換することになりますので、交換頻度は人工鼻ほど頻繁にはなりません。へパフィルターや回路交換は人工鼻交換時と同様の感染リスクになりえるのは当然と思います。
ネーザルハイフローAIRVO2で40L37℃の設定で回路内に結露ができるのはなぜでしょうか教えてください。
当院では、加温加湿器の温度設定は、看護師の勤務交代時の申し送り・チェック時には少なくとも確認し記録しています(2から3交代ですので8から12時間毎)。痰の性状や吸痰しやすさなども勤務中にチェックしますので、1日2から3回程度は評価することになります。

「適切な加温・ 加湿デバイスの選択」

徳島大学病院 医療技術部 臨床工学技術部門 近田優介 氏

多くの人工鼻の使用期間は24時間だと思いますが、48時間使用しても問題がないか教えてください。
痰の形状、量に問題なければ加温・加湿性能上、48時間は問題ありません。
人工鼻と加湿器の使用割合について教えてください。
成人の場合でしたら、特別な場合(CO2が問題ある、嘔吐など)を除き、HMEをファーストチョイスとしております。新生児、小児でしたらHHをファーストチョイスとしております。しかし、成人の場合でも加温・加湿不足と感じたらただちにHHに変更をしています。(昼夜問わず)
子供の場合の注意点などを教えてください。
子供の場合はHMEでは加温・加湿不足になることが多々あります(挿管チューブ等でのリーク、デッドスペースなど)そのため、HHを使用することが望ましいと考えております。HH使用でも新生児および小児患者さんではガス流量がどうしても少ないため外気温度の影響をうけて結露が発生しやすくなることに注意が必要であると考えております。
加温加湿の設定を最大にしても痰の粘度が高い時の対応を教えてください。
まず脱水でないこと前提とします。加温・加湿器ですべての痰を柔らかくすることはできず、どうしても限界があります。当院でも加温・加湿器を37/40度で管理して結露をなくすように努力しても痰の形状がいまいちなことがあります。病態が起因することがほとんどなどで状態が改善するまでジレンマになってしまいます。BFで観察、吸引することがありますが、賛否両論あり確実な方法ではありません。また、送気ガスの温度をあげて吸気ガスの絶対湿度を高めたくなるのですが、逆に繊毛運動が低下してしまいますので注意が必要です。
呼吸器を外している気管切開患者さんの加湿と痰のコントロールに難渋しています。何か良い方法とアセスメントがあれば教えてください。
気管切開自発呼吸患者さんへの加温・加湿性能(ハイフロセラピーシステムを使用)で一番いいのは加温・加湿器です。コストや管理で少しハードル出てくると思いますが。評価は痰の形状だと思います。
気管切開を置いている患者さんで、人工呼吸器を装着していない患者さんの加湿・喀痰管理に難渋をしています。何かいい対策があれば教えてください。
気管切開自発呼吸患者さんへの加温・加湿性能(ハイフロセラピーシステムを使用)で一番いいのは、コストや管理で少しハードル出てくると思いますが、加温・加湿器です。
COVID-19患者さんに対する気道管理において、加温加湿器と人工鼻は感染予防の観点からどちらがよいでしょうか。
以前はHMEFはウイルスを通過しない為、人工呼吸回路、人工呼吸器が汚染されないなど感染面でHMEを使用する施設がほとんどであったと思います。しかし、COVID患者さんは吸気努力が強くHMEでは加温加湿不足になる可能性もあります。加えてHMEがは交換する必要があり、その際に大気解放する必要があります。また、HH使用時でも回路呼気側に熱線ヒータが備わっているタイプ(デュアルヒータ)を使用すると呼気に結露ができない(できにくい)ため回路を開け結露を破棄する必要がなくなります。どちらも一長一短あります。そのためファーストチョイスではHMEFで問題ないと思いますが、加湿不足を感じたら加温・加湿器に変更することをお勧めします。
MR850システムが安定する最低換気量(バイアスフロー無)・不安定な時の対処法を教えてください。
超低流量のベースフロー(新生児用人工呼吸器使用時)では時々アラームが発生します。当院でも2L/分以下で使用した場合に経験をしました。もし、ベースフローをあげることができるのなら3L/分以上にします。
人工鼻で上手く加湿コントロールができる工夫などがあったら知りたいです教えてください。
HMEは患者さんの状態がもっとも影響するので脱水、体温、自発吸気流量に注意する必要があります。
ネブライザーの有効はありますか教えてください。
加温加湿を目的としたネブライザーは推奨いたしません。
コロナ患者さんへの選択を聞きたいです。人工鼻選択が多いかと思いますが、加温加湿を使うときの注意点などを教えてください。
加温加湿器の場合は呼気側の結露を破棄する必要があります。その際に回路を解放する必要がでてきます。回路呼気側に熱線ヒータが備わっているタイプ(デュアルヒータ)を使用すると呼気に結露ができない(できにくい)ため回路を開け結露を破棄する必要がなくなります(減ります)。
加湿目的(痰がかたいため)の生食ネブライザーの効果について教えてください。
加温加湿を目的としたネブライザーは推奨いたしません。
MR850で結露が強い場合、どのような手順で対応されますか教えてください。
回路内結露に影響する因子としてガス流量、外気温度そして吸気回路(熱線ヒータの形状)があります。新生児および小児患者さんではガス流量がどうしても少ないため外気温度の影響をうけて結露が発生しやすくなります。しかし、なかなかガス流量や外気温度(室温)を結露防止のために変更することは難しいと思われます。そのため、HHの設定および吸気回路で対応するようになってしまいます。MR850では侵襲モードでもマニュアル(固定値)とオートがあります。侵襲では通常に作動していれば口元40度、チャンバー出口37度で作動しますが、口元の温度等が結露等で下がるとチャンバー出口と口元の温度勾配がなくなり結露が非常にできやすくなります。そこで意図的にチャンバー出口を下げて温度勾配をつくるなどを自動でやってくれます。そのため当院ではMR850ではオートモードに設定しています。それに加えて回路の周辺にビニールスリーブを巻き少しでも外気温度の影響を受けにくくして対応しています。完全に結露をなくすことは非常に難しく、すこしでもできにくい環境作りをして対応しております。
加温加湿器による気道熱傷はどれくらいの頻度で報告されているのでしょうか。またそのリスクには何がありますでしょうか教えてください。
気道熱傷に関しての報告は国内では私自身は聞いたことがありません。 【Choi H. Int Wound J 2016;13:1087】で報告がありますがやはり機器の故障が原因であると考えられます。
自発呼吸下での気管切開患者さんの加湿について、低流量もしくは室内気で痰がかたく人工鼻が使用できない場合、有効な加湿方法は何がありますでしょうか教えてください。
自発呼吸気管切開患者さんの加温・加湿装置は限られてきます。性能順では加温加湿器(ハイフロセラピー用を使用)、ネブライザーヒータ、HMEになります。当院では加温・加湿器を使用します。しかし、コスト面で抵抗がある場合や施行中の管理が難しい場合には、ネブライザーヒータを使用する場合もあります。
ネーザルハイフローAIRVO2で40L37℃の設定で回路内に結露ができるのはなぜでしょうか教えてください。
結露のほとんどが外気温度です。外気温度を調整するのが難しい場合は、回路を変更するのも対応策にあります。Airvo2でしたらエアスパイラル回路が経験上もっとも結露ができにくい製品であると思います。

「加温加湿と人工鼻の有用性」

聖マリアンナ医科大学病院 クリニカルエンジニア部 主事 五十嵐義浩 氏

多くの人工鼻の使用期間は24時間だと思いますが、48時間使用しても問題がないか教えてください。
添付文書上の記載通りであれば問題ないと思いますが、長時間の使用で、繊毛運動の低下は見られますので、なるべく長時間の使用は避けるべきかと思います。
人工鼻と加湿器の使用割合について教えてください。
加温加湿器100%
子供の場合の注意点などを教えてください。
加湿により、鼻に水分が溜まり息ができなくなることがあるので、こまめに水分を払います。
人工鼻使い始めからどれくらいの時間である程度の加湿性がでるのか教えてください。
温湿度測定装置を装着し、人工呼吸器装着後30分間は5分間隔、8時間は1時間間隔で椎対湿度・絶対湿度・吸気温・一回換気量・気道内圧を測定した研究では、相対湿度は人工鼻群、加温加湿器群とも装着5分後から8時間後まで全過程において100%であった。という報告もあり、比較的短時間で加湿されるようです。
加温加湿の設定を最大にしても痰の粘度が高い時の対応を教えてください。
InOutバランス、発熱などを気にして行っています。
呼吸器を外している気管切開患者さんの加湿と痰のコントロールに難渋しています。何か良い方法とアセスメントがあれば教えてください。
当院では、エアエントレーナー(ベンチュリー)を使用しています。
気管切開を置いている患者さんで、人工呼吸器を装着していない患者さんの加湿・喀痰管理に難渋をしています。何かいい対策があれば教えてください。
当院では、エアエントレーナー(ベンチュリー)を使用しています。
COVID-19患者さんに対する気道管理において、加温加湿器と人工鼻は感染予防の観点からどちらがよいでしょうか教えてください。
当院では、加温加湿器で問題なく使用可能です。いかに現場で感染対策を考慮して、取り入れるかと思います。
MR-850システムが安定する最低換気量(バイアスフロー無)・不安定な時の対処法を教えてください。
環境によって異なるので一概に言えないかと思います。
人工鼻で上手く加湿コントロールができる工夫などがあったら知りたいです教えてください。
低体温はないか、分時換気量は多くないか、リーㇰはないか、室温は低くないか、脱水はないかを見ると良いと思います。
加湿器使用中の結露の対処方法を教えてください。
低体温はないか、分時換気量は多くないか、リーㇰはないか、室温は低くないか、脱水はないかを見ると良いと思います。
ネブライザーの有効はありますか教えてください。
小児では比較的有用な症例もあります。
人工呼吸器を勉強する際におすすめ参考書があれば教えてください。
『新人工呼吸ケアのすべてがわかる本』
離床負荷と肺保護(P-SILIなど)について教えてください。
リハビリの離床に関しては、「ICUにおける COVID-19患者さんに対する リハビリテーション医療Q&A」 Q5: ICU における COVID-19 患者さんに対する早期離床や積極的な運動療法 について、開始基準、中止基準、禁忌にはどのようなものがあるかを参照ください。 P-SILIを防ぐためには、強い自発呼吸を防ぐことが1番です。 そのためには、沈静・鎮痛だけでなく、患者さんの不安を取り除くことも大切です。リハビリの方であれば積極的にこえをかける事や安心される言葉や対応をすることが大事かと思います。(皆さんも起きたら知らない人に処置をされることを想像してみてください。動かないで、ちゃんとやりましょうという言葉は、ただでさえ自由に動けるときも窮屈なのに、病気で苦しくて、動けない状況でこの言葉を言われたら、患者さんは相当メンタル的にもきて、強い自発呼吸を誘発してしまうと思います。メンタルに来ると過呼吸になることと似ているかもしれません。)
人工呼吸器用の普通の人工鼻と高加湿の人工鼻と加湿回路とでどれぐらいの加湿の差があるのでしょうか?患者さん側にも加湿されやすい、されにくいの要因はあるのでしょうか教えてください。
普通の人工鼻での吸気絶対湿度は 口元温度30℃前後、絶対湿度27~35 mg/L 程度、高加湿の人工鼻はHMEブースターといい口元35℃前後、絶対湿度40mgh/L、相対湿度100%、加温加湿器は、口元37℃、絶対湿度44mg/L、相対湿度100%で、加湿不足は、患者さんの発熱やInOutバランスが減っているかもしれません
コロナ患者さんへの選択を聞きたいです。人工鼻選択が多いかと思いますが、加温加湿を使うときの注意点など聞きたいです教えてください。
移動時のスタンバイ状態にするか、スタンバイ状態にする際に送気される人工呼吸器では、配管を外し送気を止めること、PEEPの解除をしないことです。
加湿目的(痰がかたいため)の生食ネブライザーの効果について教えてください。
私の施設では、加湿器を使用して加温加湿をしているため、効果については不明です。
設定値は一度にどれほど上げていますでしょうか教えてください。
設定は1度に1段回ずつあげています。
設定値を上げてからどれくらいで加湿評価をしていますか教えてください。
CEは翌日のラウンドでの確認ですが、Nsへは各勤務はじめと終了時にチェックを依頼しています。
1日に2.5Lの蒸留水を加温加湿器に必要とする気管切開24時間人工呼吸器の患者さんがいます。何を改善すれば、蒸留水の使用量が減ると考えられますか?それともこれが適正なのでしょうか教えてください。上記患者さんに関しては、結露はそれほどなく、痰の固さは適正です。
加温加湿は、室内の温度、加湿器に送気する前の回路の長さで加湿の状態が変わってきます。チャンバでうまく設定温度まで上昇していないと加湿器がヒーティングする状態を作り出し、過剰にチャンバを温めてしまいます。スライドでも示したように、もしかしたら室温が低いのかもしれません。また、直接回路に冷気が当たらないような工夫をするのもいいかもしれません。
MR850でハイフローを使用する際に、結露に悩むことが多いです。プチプチを巻く、加湿の設定を下げるなど、手を尽くしていますがベストな対応としてどうすれば良いでしょうか教えてください。
加温加湿は、患者さんが適切に加湿されていることが大事です。加湿をして結露で息がつまり呼吸努力を増大させることは、患者さんにとってつらいです。MR850は、回路の口元側を関加湿しますが、今回の対策では限界なのかもしれません。AIRVO2は、患者さんの口元で37℃44mg/Lを保つようにコントロールしてくれ、さらに回路もスパイラル回路といって水分を排出する能力が高い回路です。なので、AIRVO2を使用することも考えるべきかと思います。
当院ではMR850+Evaqua2を使用していると、呼気フィルタに結露が発生します。その都度交換が必要となり、コロナ患者さんではウイルス曝露に繋がりますが、そのような経験はございますか。対策を教えてください。
当院でもございます。呼気側に結露が生じるということは、部屋の温度が低く冷やされて結露になっているか呼気側の熱線が温められていない可能性があります。吸気と呼気の熱線の出力は、同じに動きをしますので、口元で温められる設定(HC:0か1)にして水分コントロールは、In Outバランスで行う方が良いかと思います。

「人工鼻?加温加湿器? どっちを選択する? -事例から考える加湿の方法-」

久留米大学病院 クリティカルケア認定看護師 杉島寛 氏

多くの人工鼻の使用期間は24時間だと思いますが、48時間使用しても問題がないか教えてください。
48時間以上人工呼吸器管理の場合は加温加湿器に切り替えます。重症患者さん(敗血症など)は最初から加温加湿器を使用しています。
人工鼻と加湿器の使用割合について教えてください。
窒息しそうなときはトイレッティングをしたりします。
呼吸器を外している気管切開患者さんの加湿と痰のコントロールに難渋しています。何か良い方法とアセスメントがあれば教えてください。
夜間帯にインスピロンネブライザーを使用したり、超音波ネブライザーを2-3回/日に使用したりします。
気管切開を置いている患者さんで、人工呼吸器を装着していない患者さんの加湿・喀痰管理に難渋をしています。何かいい対策があれば教えてください。
夜間帯にインスピロンネブライザーを使用したり、超音波ネブライザーを2-3回/日に使用したりします。
COVID-19患者さんに対する気道管理において、加温加湿器と人工鼻は感染予防の観点からどちらがよいでしょうか教えてください。
加温加湿器を使用しても閉鎖回路なので問題ないと思っています。
加湿器使用中の結露の対処方法を教えてください。
熱線入りの呼吸器回路などの検討もいいかもしれません。
ネブライザーの有効はありますか教えてください。
加湿という意味ではあると思いますし、臨床でも効果を実感します。
人工呼吸器用の普通の人工鼻と高加湿の人工鼻と加湿回路とでどれぐらいの加湿の差があるのでしょうか教えてください。また、患者さん側にも加湿されやすい、されにくいの要因はあるのでしょうか教えてください。
炎症反応が強い患者さんや吸気努力が強い患者さんでは加湿に難渋します。
加湿目的(痰がかたいため)の生食ネブライザーの効果について教えてください。
主気管支や区域気管支レベルの加湿効果だと考えています。
設定温度を下げるタイミングはどのように評価するべきでしょうか教えてください。
痰の粘稠度で判断しています。
自施設ではコロナの疑似床の場合、隔離解除されるまで(最大10日)加温加湿器は使用せず、人工鼻で経過することがほとんどです。加湿器へ変更することも検討した方がよいでしょうか教えてください。
お話もさせて頂きましたが、吸引するときに吸引カテーテル挿入時に、挿管チューブに抵抗がある場合などは、早めに加湿器への変更を検討した方がいいと思います。
痰の粘稠にインアウトバランスが影響するとありますが、インボリュームしてどのくらいで痰が柔らかくなり始めるのか教えてください。
ハッキリとしたことは言えません。申し訳ありません。臨床で指標にしている一つに口腔内の乾燥も参考にしています。
NHFCでは、生理的な加湿機能はバイパスされませんが、どれくらいの絶対湿度があれば許容できますか教えてください。また、ベストな絶対湿度は44mg/dlでよろしいでしょうか?
患者さんの状態によります。NHFCでは通常は「侵襲モード」のA(オート)設定で十分です。口元の絶対湿度44㎎/dlです。しかし、重症な患者さんの場合はNHFCでもマニュアル設定で「3」にすることもあります。